塩野七生、ローマ亡き後の地中海世界: 海賊、そして海軍、新潮文庫、2014.8

「1」、476年、西ローマ帝国が滅亡し、地中海は群雄割拠の時代へと入った。台頭したのは「右手の剣、左手にコーラン」を掲げ、拉致と略奪を繰り返すサラセン人の海賊たち。その蛮行にキリスト教国は震え上がる。イタリア半島の都市国家はどのように対応したのか、地中海に浮かぶ最大の島シチリアは?『ローマ人の物語』の続編というべき歴史巨編

 

目次

第1章 内海から境界の海へ

(イスラムの台頭、サラセン人、海賊 ほか)

間奏曲「暗黒の中世」に差した一筋の光

(「イスラムの寛容」、イスラム下のシチリア社会、地中海の奇跡)

巻末カラー「サラセンの塔」

(リグーリア地方、トスカーナ地方、ラツィオ地方 ほか)

 

「2」、北アフリカを拠点とするサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、拉致された人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も組織された。イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙が上がり始めた―。

 

目次

第2章 「聖戦」と「聖戦」の時代

(海賊行つづく、「海賊に抗するには海軍で」の時代の始まり

ノルマン人がやって来た!、イタリアの海洋都市国家

アマルフィ・ピサ・そしてジェノヴァ、ヴェネツィアの海賊対策

「十字軍」時代、「やられない前にやる」、最後の十字軍、

イタリアの経済人たち、交易商品、サハラの黄金)

第3章 二つの、国境なき団体(「救出修道会」、「救出騎士団」)

 

「3」、北アフリカから到来するイスラムの海賊による侵攻が激しさを増すなか、マホメッド二世率いるトルコ軍の猛攻の前に、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルが陥落。さらにトルコは海賊を自国の海軍として吸収し、攻勢をますます強める。キリスト教連合国はアンドレア・ドーリアを総司令官に擁立。事態は地中海世界全域を巻き込んだパワーゲームの様相を呈することとなった…。

 

目次:

第4章 並び立つ大国の時代

(コンスタンティノープルの陥落、読者へのお願い

スルタン・マホメッド二世、エーゲ海へ、海賊・新時代 ほか)

第5章 パワーゲームの世紀

(若き権力者たち、法王クレメンテ、「ユダヤ人シナム」

海賊「赤ひげ」、アンドレア・ドーリア ほか)

 

「4」地中海世界を揺るがすパワーゲームにフランス、スペインも参戦し、戦況は混迷をきわめた。トルコを率いるのは陸上ではウィーンにまで迫り、のちに「大帝」と呼ばれたスレイマン一世。迎えるキリスト教連合国軍の最前線に立つのはそのトルコに本拠地を追われた聖ヨハネ騎士団。最終決戦の舞台はマルタ島と決まった―。地中海の命運を決する戦いは、いかなる結末を見たのか!

 

目次:

第5章 パワーゲームの世紀(承前)

(プレヴェザの海戦、海賊ドラグー、アルジェ遠征 ほか)

第6章 反撃の時代

(マルタ島攻防記、「マルタの鷹」、攻防始まる ほか)

第7章 地中海から大西洋へ

(ハレムのヴェネツィア女、騎士と海賊、地中海世界の夕暮)