篠田英朗、憲法学の病、新潮社、2019.7.20

19, 9条1項「戦争放棄」条項は、国際法で違法化されている「戦争(war)」行為を行わないことを、日本国民が宣言した、現代国際法のための条項である。

29, 主権国家が宣戦布告をして始める国家間紛争などは、実際には現代世界ではほとんど発生していない。→ 本当?

 

33, 「国権の発動としての戦争」に自衛権の行使は含まれない。

59, 自衛権を悪用して侵略行為を行った日本を反省するべきだ。そして国際法を遵守することを誓うべきだ。

 

63、9条二項は、自衛権行使の手段の不保持は宣言されていない。

113, 憲法を変えるとアメリカの属国になる。といった荒唐無稽な脅かし

 

131, 日本国憲法に明示されている「一大原理」は、「国政は国民の厳粛な信託による(Government is a sacred trust of the people)」

140, 戦争の回避とは、「原理」でなく達成すべき「目的」。

 

150, 憲法前文は、日米安全保障条約を中核とし、国連憲章によって基礎づけられた国際法規範を信頼して、日本が自国の安全を確保していく仕組みを、予定していた。

164, 憲法学者のほとんどは、集団的自衛権の行使は違憲だと考える。ところが、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)に集った学者らはそのようには考えなかった。

 

192, 砂川事件(from ウィキペディア):東京都砂川町付近にあった在日米軍立川飛行場の拡張を巡る闘争における一連の訴訟。特に、1957年(昭和32年)7月8日に特別調達庁東京調達局が強制測量をした際に、基地拡張に反対するデモ隊の一部が、アメリカ軍基地の立ち入り禁止の境界柵を壊し、基地内に数メートル立ち入ったとして、デモ隊のうち7名が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(現在の地位協定の前身)違反で起訴された事件を指す。

伊達 秋雄(1909年 - 1994年)砂川事件一審において、日米安全保障条約によるアメリカ軍の駐留は日本国憲法違反とする判断を示した。「日本に戦力がないから、米国の戦力で日本を守ろうというならば、従来の武力によって国を守ろうという考え方と少しも変わらない。これは日本国憲法が掲げる平和主義の高い理想に反する」と語っている。1961年(昭和36年)弁護士を開業、新橋綜合法律事務所を設立。のち法政大学で法学部教授(担当は刑法)、法学部長などを歴任。

 

212, 現在、「アベ政治を許すな」、あるいは「日本をアメリカの属国にするな」で大同団結する憲法学者たちは、表立って学術的な議論を展開させることを控えている。

 

234, ノモス::

古代ギリシアにおいて用いられた社会概念で、法律、礼法、習慣、掟、伝統文化といった規範を指した。英語の「~の知識体系」、「~の秩序法則」を意味する接尾辞“-nomy”の語源はノモスである。 

economy, astronomy(天文学), autonomy(自治権) ,norm(標準)

 

目次

はじめに

第1部 憲法をガラパゴス主義から解放する

1 本当の憲法9条1項「戦争」放棄

2 本当の憲法9条2項「戦力」不保持

3 本当の憲法9条2項「交戦権」否認

4 本当の憲法前文一大「原理」

5 本当の憲法前文「平和を愛する諸国民」

6 本当の憲法前文「法則」

7 本当の「集団的自衛権」

8 本当の「砂川判決」

9 本当の「芦田修正」

第2部 ガラパゴス主義の起源と現状

10 宮沢俊義教授の謎の「八月革命」

11 長谷部恭男教授の謎の「立憲主義」

12 石川健治教授の謎の「クーデター」

13 木村草太教授の謎の「軍事権」

おわりに