岡本正、災害復興法学

災害復興法学 An Encouragement of Disaster Recovery and Revitalization Law

岡本正、慶応義塾大学出版会、2014920日初版第一刷発行。

4万人を超える被災者の多様な「声」を分析し、真のリーガル・ニーズに基づいた立法・制度構築を提言。法律的課題の発見から政策提言までの軌跡を震災時の代表的ケースを用いて解説する。

 

P3: 法律家が、無料法律相談活動を実施することの機能

  1. 精神的支援機能

  2. パニック防止機能

  3. 紛争予防機能

  4. 情報整理提供機能

  5. 立法事実集約機能

 

東日本大震災で被災した方々の二重ローンの返済について、リスケジュールと、被災ローン減免制度があるとのことです。被災ローン減免制度は、この震災で新らたに作られたスキームだそうです。ただし、被災ローン減免制度はほとんど実行されなくて、金融機関からはリスケジュールを進められて、義援金や支援金をあてにされて、あとは自己破産に追い込まれるといったことが起こっているらしい。宙に浮いた議論が多いので、この本でやろうとしていることは立派だと思います。参考:http://www.kgl.or.jp/

 

2011725日、災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法案成立。第3条2項に定める遺族の範囲に、災害により死亡した者と生計を一にする兄弟姉妹も含める。ただし、当該配偶者、子、父母、孫又は祖父母のいずれもが存しない場合に限る。

 

以下目次:

第1部 巨大災害時のリーガル・ニーズ

第1章 東日本大震災無料法律相談情報分析結果

2章 東日本大震災のリーガル・ニーズの視覚化

 

2部 東日本大震災と復興政策の軌跡

1章 被災者どうしの紛争、話し合いによる解決を「建物賃貸借・近隣紛争と震災ADRの誕生」(ADR: Alternative Dispute Resolution. 裁判外紛争解決手続き)

2章 行方不明と死亡の狭間で揺れる遺族「相続放棄の熟慮期間と行方不明者の死亡届」

3章 破産できない! 新たな債務整理制度「住宅の被災ローン減免制度の構築」

4章 兄弟は家族か マイノリティ・リポートが導く真実「災害弔意金支給対象の兄弟姉妹への拡大」

5章 復興を阻害する古法の適用に待った!(羅災法の借地権の保護を見直して、都市計画、復興計画の推進を図る必要があった)

6章 いのちを奪うか、救うか、マンション法制のこれから「被災マンションと耐震化政策」

7章 個人情報は個人を救うためにある「災害時の安否確認・災害後の生活実態把握」

8章 未来に残せ、地域の個人情報利活用術「災害時要援護者名簿の事前共有と災害対策基本法」

9章 100万件の紛争を法律家の手で解決せよ「原子力損害賠償紛争解決センターによるADR

10章 絶望を希望に変える情報を伝えるために「官民連携による情報提供ルートの複線化」

11章 既成概念を打ち破る新しい法律・法改正「差し押さえ禁止、資力要件撤廃、子ども被災者支援法、消滅時効延長」

 

3部 危機管理の新デザイン

第1章 地域ごとの復興政策モデル

2章 南海トラフ地震・首都直下地震に備えるデータの活用