116 ジェシー・ノーマン(JESSE NORMAN) 、アダム・スミス 共感の経済学、村井章子(訳)、早川書房、 2022.2.16

スコットランド生まれのアダム・スミス(1723年-1790年)について、「生涯・思想・その影響」と順を追って書かれ、強欲な資本主義に対して、不快感を持たれている方にお薦めしたい内容です。「1.『道徳感情論(The Theory of Moral Sentiments)』は利他主義と善を、『国富論 (The Wealth of Nations)』は利己主義と強欲を説いて矛盾しているように見えるが整合が取れている。2.スミスは自己利益の擁護者ではない。3. スミスは金持ち贔屓ではない。4.スミスは政府嫌いではない。 5. スミスの真の姿は哲学者である。」 堂目卓生氏による「アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界」(中公新書、2008年)に出会って、スミスは道徳感情を大事にする良心的な人だったことを知り、『国富論』の基礎となっているその論理に感動したことがありました。それに加えて、本書がアダム・スミスの思想とその現代への影響まで、広げ深めてくれました。経済の翻訳書を多く出されている村井章子さんの翻訳は読みやすく内容が頭に入りやすいものです。村井さんたちの翻訳による『道徳感情論』が2008年に出版されており、それも読んでみようと思っています。