岡田広行、被災被害者
岡田広行著、被災被害者、岩波新書1530
表紙の裏書には、こうある。“東日本大震災の集中復興期間終了を目前に、復興から取り残されている人々がいる。くらしの再生に必要なものは、巨大プロジェクトの加速ではない。「いつまで被災者なのか」と弱者を切り捨てるなら、社会はその負債を将来にわたって抱え込むだろう。被災は、誰にとっても人ごとではない。災害多発国日本のあやうさを現場から問う。” 宮城県の気仙沼、石巻地域のことが主に語られる。
キーワードを拾うと、プレハブ仮設住宅、在宅被災者、羅災証明書、医療費免除再開、生業再建、高台移転の代償、震災便乗型事業の見直し、等々。
先日の国連防災会議の仙台防災協力イニシアティブと読み比べてみると、目線の差の違いが出ている。つなげる努力が必要であろう。
目次
第1章 プレハブ仮設住宅で
(「ミスター仮設住宅」の孤軍奮闘、「見守り」は続けられているが… ボランティア活動の意義ほか)
第2章 みなし仮設で
(みなし仮説親睦会「若松会」、みなし仮説とは、みなし仮説の功罪 ほか)
第3章 在宅被災者という存在
(暗闇の町で支援対象外の被災者、食料を届けた石巻市 ほか)
第4章 被災者とは誰なのか
(不公平な扱い、罹災証明をめぐる問題、無力だった災害対策基本法 ほか)
第5章 子どもたち―学校と遊び場は取り戻せたか
(バスケットボール教室で子どもに寄り添う、失われた放課後 ほか)
第6章 生業再建の希望と困難
(二次災害のダメージ、冠水被害の農地、いちご農家の試練 ほか)
第7章 復興事業の不条理
(災害危険区域設定自治会の解散、消えていく集落、「住民合意」を尊重した地域も ほか)