武部健一、道路の日本史、古代駅路から高速道路へ、中公新書、2015.5.25

道路の日本史 古代駅路から高速道路へ

武部健一 著 中公新書 2321

邪馬台国の頃には獣道しかなかった日本列島も、奈良時代になると幅12mの真っ直ぐな道が全国に張りめぐらされ、駅馬の制度が設けられた。中世には道路インフラは衰退したが、徳川家康は軍事優先から利便性重視に転換して整備を進める。明治以降は奥羽山脈を貫くトンネルを掘った三島通庸、名神高速道路建設を指揮したドルシュなど個性溢れる人物の手によって道路建設が成し遂げられる。エピソード満載でつづる道路の通史。

初版発行日2015/5/25

 

目次

1 世界の道路史と日本

2 律令国家を支えた七道駅路

3 中世―乱世と軍事の道

4 近世―平和の礎としての道

5 近代―鉄道の陰に追いやられた明治の道

6 現代―高速道路時代の到来

終章 日本を支えるシステムとしての道

 

メモ、

日本探検(名神高速道路の章、梅棹忠夫著、講談社学術文庫)でP188と同じ文章に出会いました。これは、日本の道路を語るときに定番であることを知りました。The roads of Japan are incredibly bad. No other industrial nation has so completely neglected its highways system. (1956 ラルフ・J・ワトキンス 世界銀行調査団報告書) 「日本の道路は信じがたい程に悪い。 工業国にして、これ程完全にその道路網を無視してきた国は、日本の他にない。」

 

「道路とは、交通のためにそれに耐える基盤を持ち、その上に一定の空間を連続的に備えた帯状の施設。」

高規格幹線道路網1万4000km、うち高速自動車国道1万1520km(うち、国土開発幹線道路網7600km

日本の道路総延長、121万km うち市町村道102万km

 2m以上の橋、70万橋

道路トンネル 約1万、約4千km(3,940km

道路標識・照明、600万基

舗装ストック、100万km

 

2-1 黎明期の道

2-2 律令制国家と駅制

2-3 駅路のシステムと道路構造

2-4 古代路建設のさまざまな姿

2-5 駅制の運用

2-6 高速道路の古代回帰

 

3-1 崩壊する律令体制と道

3-2 新しい秩序と道

3-3 戦国時代の道

4-1 覇者の道

4-2 五街道―265年の幕政を支えた道

4-3 近世の道路構造

 

5-1 明治期の道を造った二人の日本人 三島通庸(みちつね)、大久保諶之丞(じんのじょう)

5-2 明治の道を旅した二人のイギリス人 イザベラ・バード、アーネスト・サトウ

5-3 自動車時代に入った大正時代

 

6-1 戦後の道路を生んだ二人の田中 田中精一、田中角栄

6-2 やはり外国によって目覚めた戦後の道  ラルフ・J・ワトキンス、クサヘル・ドルシュ

6-3 全国的高速道路網の展開

6-4 安全への戦い

6-5 試練に立つ環境との相克