カール・ポラニー、大転換

[新訳]大転換 (和書)

カール・ポラニー 著、 野口建彦 栖原学(翻訳)、東洋経済新報社 2009619

 

『大転換』 (だいてんかん、The Great Transformation) は、ハンガリー出身の経済学者カール・ポランニー(ポラニー)が1944年に著した経済史、経済人類学の書籍。

 

===引用===、

 経済が市場に支配されたといえる時代は19世紀にいたるまで存在しなかった。19世紀より前の経済で、生産と分配における秩序はどのように維持されていたのか。その答えは、互酬、再分配、および家政という3つの行動原理によっていた。

 互酬:共同体内あるいは共同体相互において、個人あるいは集団はそれぞれ自己の「片割れ」をもち、相互の贈り物のやりとりとも考えられるような関係を結ぶ。

 再分配:共同体の成員による生産物は、いったん首長すなわち中心に位置する人物に集められて貯蔵され、さまざまな機会に再び成員に分配される。

 家政:みずから使用するための生産の謂いであり、閉ざされた家族、村落、荘園などの自給自足の単位で機能していた。ギリシア人は、家政の原理を「エコノミー」の語源であるオイコノミア(oeconomia)と呼んだ。

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悪魔のひき臼

ウイリアム・ブレイクの詩篇「ミルトン」(1804)の序詩の第二節に、

“And was Jerusalem builded here / Among these dark Satanic Mills”とある。ブレイクは、産業革命という技術の発展過程がもつ文化に対する破壊性を、ロゴスの力で生命を粉々にする「悪魔のひき臼」に例えている。

 

目次

著者謝辞

序文(ジョセフ・スティグリッツ)

紹介(フレッド・ブロック)

2001年版への注記

[凡例]

I部 国際システム

第1章 平和の百年

第2章 保守の20年代、革命の30年代

II部 市場経済の勃興と崩壊(1)-悪魔のひき臼

第3章 「居住か、進歩か」

第4章 社会と経済システム

第5章 市場パターンの展開

第6章 自己調整的市場と擬制商品―労働、土地、貨幣

第7章 スピーナムランド法-1795年

第8章 スピーナムランド法以前と以後

第9章 貧民とユートピア

第10章 政治経済学と社会の発見

III部 市場経済の勃興と崩壊(2)-社会の自己防衛

 第11章 人間、自然、生産組織

 第12章 自由主義的教義の誕生

 第13章 自由主義的教義の誕生(続)- 階級利害と社会変化

 第14章 市場と人間

 第15章 市場と自然

 第16章 市場と生産組織

 第17章 損なわれた自己調整機能

 第18章 崩壊への緊張

IV部 大転換の進展

 第19章 大衆政治と市場経済

 第20章 社会変化の始動

 第21章 複合社会における自由

 

文献に関する注釈

  1. バランス・オブ・パワー―政策、歴史法則、原理、システム

  2. 平和の百年

  3. 断ち切られた黄金の糸

  4. 第一次世界大戦後の振子の揺れ

  5. 金融と平和

  6. 「社会と経済システム」についての主要文献

  7. 「市場パターンの展開」についての主要文献

  8. スピーナムランド体制に関する文献

  9. 救貧法と労働の組織化

10、スピーナムランドとウィーン

11、どうしてホイットブレット法案ではだめなのか

12、ディズレーリの「二つの国民」と有色人種問題

訳者あとがき

カール・ポラニーの生涯(1886-1964

カール・ポラニーの主要著書・論文一覧

人名索引

事項索引