津久井進、大災害と法
大災害と法、津久井進、岩波新書1375、
2012年7月20日、第1刷発行
見開き:
地震、津波、台風、豪雨、噴火など、毎年のように日本列島を襲う大規模災害。なぜ国・自治体の対応は遅いのか。どうして被災者に救助の手が届かないのか。東日本大震災を経たいま、災害に関する複雑な法制度をわかり易く解説した上で、その限界を明らかにし、改善策を探る。被災者のために、法は何をなし得るのか。
「はじめに」より
壮絶な悲しみに襲われ、極めて過酷な状況にありながらも、人は日々の生活を送らなければならない。その生活上の悩みは多様であり、切実であり、また深刻である、そのような被災者の不安を少しでも和らげ、心配ごとから解き放ち、生活の再生への道筋を示すことは、法の果たすべき重要な役割である。
目次
はじめに
I 法のかたち
1.災害と法の歴史
2.災害法制の仕組み
2-1.法の秩序
2-2.防災中心主義
2-3.諸外国の災害法制
II 災害サイクルと法
3.災害直後の法制度
3-1.災害対策基本法―緊急対応の観点から
3-2.対策本部と消防・警察・自衛隊
3-3.災害救助法
4.復旧と生活再建のツール
4-1.復旧と補助金
4-2.災害弔慰金等法
4-3.被災者生活再建支援法
4-4.義援金
4-5.生活保護
4-6.火災保険・地震保険・生命保険
4-7.被災ローンからの救済
5.復興期の法制度
5-1.復興とまちづくり
5-2.東日本大震災復興特区法
5-3.羅災都市借地借家臨時処理法
5-4.被災マンション
5-5.産業の復興
5-6.復興基金
5-7.復興の理念―復興基本法としての憲法
6.災害に備える―防災と減災
6-1.災害に備える法律
6-2.災害対策基本法―防災の観点から
III 法の課題
7.避難者の支援
7-1.広域避難の実情
7-2.避難生活を支える仕組み
7-3.避難する権利
8.原子力災害と法
8-1.原子力基本法
8-2.原子力損害賠償法
8-3.原子力災害対策特別措置法
8-4.福島第一原発事故に関する特別立法
9.災害と個人情報保護
9-1.個人情報保護の壁
9-2.災害時の情報共有
9-3.情報共有のシステム
終章 災害対応の担い手たちのために
終-1、ボランティアと法
終-2、災害と女性
終-3、自治体の自立を
おわりに
参考文献 p197
法令索引