蓑原敬、他、これからの日本に都市計画は必要ですか、2014.6.1

白熱講義、これからの日本に都市計画は必要ですか、学芸出版社、2014.6.1

 

目次

1部:講義編、日本の都市計画は何をしてきたのか(蓑原敬)

1講 近代都市計画とは何だったのか

1 近代都市計画を解釈する

2 都市計画の反省

3 グローバル化の再考

2講 3.11で日本の都市計画は変わるのか

1 現代都市計画の転機

2 震災を契機に価値観の転換はなされるか

3講 今、私たちの引き受けるべき課題は何か

1 更地(タブラ・ラサ)から始まった近代、都市がすでにある現代

2 都市へのモチベーションが見出しにくい現代

 

2部:演習編、蓑原先生、これからの日本に都市計画は必要ですか?

1 都市計画にマスタープランは必要ですか?(姥浦道生)

2 都市はなぜ面で計画するのですか?(藤村龍至)

3 コンパクトシティは暮らしやすい街になりますか?(野澤千絵)

4 都市はどのように縮小していくのでしょうか?(饗庭伸)

5 都市計画はなぜ人と自然の関係性から出発しないのですか?(村上暁信)

6 計画よりもシミュレーションに徹するべきではないですか?(日埜直彦)

7 都市計画は「時間」にどう向き合っていくのでしょうか?(中島直人)

 

メモ

問4:都市はどのように縮小していくのでしょうか?

P178: 山形県鶴岡市という人口13万人の地方都市の中心にあるS町の実践です。

鶴岡では戦後一貫して、高校卒業直後の人口の大規模な流出が継続してきました。彼らは仙台や東京といった大都市に仕事を見つけて住居を構え、定年を迎えるまでそこを動くことができなくなります。その間に鶴岡に住み続けている彼らの両親の世代が少しずつ亡くなり、住み手のない住宅が増えてきていきます。何とか仕事を見つけて鶴岡に帰ってくる人口も一定数存在しますが、中心にある住宅の規模が小さく、古い市街地であるために道路が細く、自動車を持つ核家族を受け入れられる住宅は少ない状況でした。結果的に彼らは郊外の新しい市街地に住宅を求めます。このように、地方都市と大都市の間の人口移動と、都市内の郊外化の人口移動の二つが重なって、中心のスポンジ化が進みます。

空き家や空き地を維持するコストがかかるため、行政には寄付の代診が相次いで舞い込むようになりました。しかし、行政としても全ての空き地を受け入れるわけにはいきません。受け入れると維持管理の費用がかかりますし、活用のあてもないのに寄付をうけいれるわけにはいきません。一方で、行政は市の中心に1990年代からここ20年ほど継続的に公共投資をしてきました。