荒廃するアメリカ(1982)、1982.9 

荒廃するアメリカ America in Ruins  by Pat Choate, Susan Walter

監修 東京大学教授 岡野行秀 訳 社会資本研究会

開発問題研究所、昭和58年4月1日  

ネットでの紹介

1980年代の米国では、インフラの老朽化問題が深刻化し、それが経済や生活の様々な面に影響を及ぼした。例えば、当時の記録として、スクールバスで通学する学童が、橋梁の重量制限のため迂回路を通らねばならなかったり、また、橋の手前でスクールバスを降りて橋を歩いて渡ることを余儀なくされたりといった様子が記録されている。また、多数の橋梁により周辺地域とつながるマンハッタン島では、1980年代に複数の橋梁で損傷事故が起こり、いたるところで大規模補修が行われた。このような状況のなか、1981年にはパット・チョートとスーザン・ウォルターにより「荒廃するアメリカ」が出版され、劣化するインフラの状況について警鐘が鳴らされた。この本は日本語にも翻訳・出版(開発問題研究所、昭和58年4月1日)され、「荒廃するアメリカ」はインフラ老朽化に直面する1980年代の米国を象徴する言葉となった。

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日本語への翻訳は、社会資本研究会のメンバーが担当した。本研究会は、各界の指導を得ながら、幅広い視野に立って社会資本に係る諸問題を勉強しようという若手行政官の有志の集まりである。今回の翻訳に携わったのは、私(古賀一成)ほか建設省道路局道路総務課に在籍した森永教夫(現近畿地方建設局浪速国道工事事務所調査課長)、赤井裕司、堀川博康、小関正彦の各氏並びに近畿地方建設局の西田寿起(計画調整課長)、的場純一(現建設省道路局道路経済調査室)、佐藤浩並びに三宅篤(京都府道路建設課)、石井啓一(和歌山県道路建設課)の各氏である。

役者あとがき 昭和57年9月 訳者代表 古賀一成(1971.建設省入省、1979より道路局道路総務課課長補佐、1982.7より福岡県企画開発部土地対策課長)

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1980年代の米国では、インフラの老朽化問題が深刻化し、それが経済や生活の様々な面に影響を及ぼした。例えば、当時の記録として、スクールバスで通学する学童が、橋梁の重量制限のため迂回路を通らねばならなかったり、また、橋の手前でスクールバスを降りて橋を歩いて渡ることを余儀なくされたりといった様子が記録されている。また、多数の橋梁により周辺地域とつながるマンハッタン島では、1980年代に複数の橋梁で損傷事故が起こり、いたるところで大規模補修が行われた。このような状況のなか、1981年にはパット・チョートとスーザン・ウォルターにより「荒廃するアメリカ」が出版され、劣化するインフラの状況について警鐘が鳴らされた。この本は日本語にも翻訳・出版され、「荒廃するアメリカ」はインフラ老朽化に直面する1980年代の米国を象徴する言葉となった。翻訳は、当時の建設省若手で行い、その中には、石井啓一国土交通大臣もおられた。 

目次

第一章 荒廃する公共施設、減少する公共投資

第二章 公共事業と経済

第三章 80年代における公共事業の財源:資金獲得の戦い

第四章 公共事業費の有効利用―遅延コストを減少させるために

第五章 不正の防止及び行政上の浪費削減による公共事業費の有効活用

第六章 アメリカ合衆国の資本予算

第七章 連邦制度内部における公共事業の責任分担

第八章 提言