52 丹羽宇一郎、人は仕事で磨かれる、文春文庫、2008.2.10 (初出2005.2、単行本、文藝春秋刊)

丹羽宇一郎、人は仕事で磨かれる、文春文庫、2008.2.10 (初出2005.2、単行本、文藝春秋刊)
先日、出会った丹羽さんの「死ぬほど読書」に銘感したので、同著者の本を読んでみました。川上哲治さんが、感動して丹羽さんに手紙を書いたとのエピソードにも納得しました。元気をもらえます。

メモ:
P113:...
「論語」の中に、とくにリーダーの条件とした九つの徳目というのがあります。「温(人間的温かみ)」、「良(人の美しさ、正直さ)」、「恭(仁とともにある慎み深さ)」、「倹(質素であること)」、「譲(礼儀正しさ)」、「寛(厳格とともにある寛容)」、「信(信用と信頼)」、「敏(すばやい対応)」、「恵(浪費とならぬ施し)」の九つです。
この九つの徳目と五常「仁・義・礼・智・信」は経営の根幹になる倫理を教えてくれると思います。

P225:
人は、仕事によって磨かれる。仕事で悩み、苦しむからこそ人間的に立派になるんです。だから、「こんなつらい仕事をやらされて」とゴチャゴチャ不満を言う前に、それを与えられたことを喜ぶべきなんです。もちろん、嫌な仕事を引き受けたからといって、それと自分の成長はイコールとは限りません。しかし、周りが嫌がる仕事を引き受けて、それを前向きにとらえるところにグレードアップの可能性があるんです。

P244:
エリートには、その地位に見合った責任と義務が生じます。これを「ノーベレス・オブリージュ」といいます。他人のために尽くす。悪いときは矢面に立ち、良いときには後ろに下がる。謙虚さと謙譲と献身の精神を持たねばなりません。これは一般の人から見ると大変に苦痛なことです。それを苦痛と思わず、美徳として自然に行える人間、これがエリートです。
本当のエリートは、自ら這い上がり、周りから自ずとそう評価される人のことです。

P269:
人は仕事で磨かれ、読書で磨かれ、人で磨かれる。この三重奏だと思っています。そして今もうひと言付け加えたいと思います。「自分を磨くために、一歩踏み出せ!」私は本書を多くの若者に読んでもらいたいと思います。そして読み終わった後、今までやったことがないこと、自分でやってみたいこと、何でもいいから行動に移してほしい。

目次
第1部 四つの大いなる決断
掃除屋新領野の開拓、
負の遺産、
経営者を引き受けるということ
第2部 決断する力を養う
本屋さんの息子、
自分を鍛える、
コミュニケーション環境を整える、
人を育てる