米倉誠一郎著、イノベーターたちの日本史、近代日本の創造的対応、東洋経済、2017.5.11

米倉誠一郎著、イノベーターたちの日本史、近代日本の創造的対応、東洋経済、2017.5.11 

 

不条理な戦争、アヘン戦争から始まります。林則徐、高島秋帆、大隈重信、小野田セメントの創業者・笠井順八、まことに面白い。著者は、近所の国立の一橋大学の先生でした。親近感が沸きます。石橋湛山が築いていった東洋経済新報社の伝統も感じます。

三菱の岩崎弥太郎・弥之助(弟)、三井の三野村利左エ門、理化学研究所の高峰譲吉、大河内正敏、など。紹介がつづき読了しました。

 

メモ:

P143:

益田孝は、「幕府はどうしてあんなに脆くも倒れたかというに、内がまったく駄目になっておったのである」と述べ、そのことを「最もよく見抜いておったのは、おそらく慶喜公であったろう」と興味深い考察をしている。

「幕府には人物がなかった。たとえあっても、家の格式と言うようなことがやかましいから、働くことができぬ。あれではとても仕様がない。

これに反して薩長には人物がおった。革命をやろうと言う決心で藩中一致で始めたのだから、人物も出たわけだ。貧乏書生だろうが何だろうが、いやしくも一見識あり、一能一芸を有する者は、構わず飛び出してきて働くのだから、幕府と薩長とは、働いている人物の決心が違っておった。」

 

目次:

 第1章 近代の覚醒と高島秋帆

第2章 維新官僚の創造的対応―大隈重信志士から官僚へ

第3章 明治政府の創造的対応―身分を資本へ

第4章 士族たちの創造的対応―ザ・サムライカンパニーの登場

 第5章 創造的対応としての財閥―企業家が創り出した三井と三菱

 第6章 科学者たちの創造的対応―知識ベースの産業立国

 終章 近代日本の創造的対応を振り返る