北崎朋希、東京・都市再生の真実―ガラパゴス化する不動産開発の最前線、水曜社、2015.12.11

 

最近の都市の建物は、高い建物がおおいのですが、

空地の確保、住宅・コミュニティ施設・福祉施設の導入、公共貢献、都市機能の更新や国際競争力の向上といった条件で容積率の規制緩和がなされているそうです。

例えば、ギンザカブキは670%が1220%になったそう。都市再生への貢献として、歌舞伎座の複合文化拠点の形成、都市基盤施設の整備、みどり豊かな都市空間の創出、環境負荷低減の取り組み。といった項目で、たくさんの工夫がなされている。

 

皇居外苑浄化計画

P127:

環境省は2009年に皇居外苑壕管理方針検討会を設置し、皇居外苑壕管理方針と皇居外苑水質改善計画を策定した。

この方針では浄化施設の新増設や雨水利用などによる壕水の水量確保が対策として掲げられた。これを踏まえて、大手町ホトリアでは官民連携による外苑壕の水質改善に向けたプロトタイプとなる取り組みを提案するに至った。

 

P128:

皇居外苑壕には、1997年に環境省によって日比谷壕に一日最大2万m^3の処理能力を有する浄化施設が設置されていたが、近年浄化施設の維持管理能力が低下していた。この問題に対応するため大手町ホトエリアに新たに設置される浄化・貯留施設は、一日最大1,400m^3の処理能力を有し、さらに雨水や外苑壕から取水した水を蓄える25mプール6杯分となる3,000m^3の貯留槽を設置する想定である。これにより、壕水の懸濁物質を90%以上除去し、さらに壕水の水位低下時には水を補給することで壕水の水質改善を図ることを目指している。また、こうした次世代の環境技術・システムの情報収集や効果検証、さらに情報発信を行うための約700m^3のビジネス・エコシティ・センターを1階に整備・運営することを想定している。このセンターでは、環境技術・システムの情報収集やモデルオフィスでの展開を通じた効果検証を行うラボラトリー機能、大手町ホトエリアや地区外の最先端の取り組みを可視化・情報発信するショーケース機能、国内外の来訪者や就業者などの交流・啓発機能を有している。大手町ホトエリアは2017年1月に竣工予定であり、現在工事が進められている。

東京では、以上のようなユニークな公共貢献が民間事業者によって多数創出されている。

 

目次

第1章 ガラパゴス化する東京の不動産開発

バブル期に匹敵する不動産開発の増加

 第一のガラパゴス化:市場の論理から乖離した用途構成

 第二のガラパゴス化:お手本を超えた規制緩和

 第三のガラパゴス化:不動産開発の一極集中化 ほか

 

第2章 都市再生の発案と構築

 抜本的な不良債権処理策として発案された都市再生/

小泉内閣による都市再生本部の設置/

既存法制度を超越した特区制度の具体化/

都市再生施策の活用開始 ほか

 

第3章 都市再生の光:地価上昇と多様な公共貢献の創出

 再生した大都市中心部/

再生の最大要因は規制緩和による不動産開発/

規制緩和で多様な公共貢献が創出された東京都心/

資産価値の最大化に向けて過熱する民間事業者の提案競争ほか

 

第4章 都市再生の影:不透明な規制緩和の手続き

事前相談によって全てが決定される都市再生特別地区/

民間事業者と自治体職員との事前相談の実態/

当初の理念から乖離した都市再生特別地区ほか

 

第5章 今後の東京に求められる不動産開発のあり方

 高く評価される丸の内・大手町と六本木・赤坂の不動産開発/

都市再生をさらに促進する国家戦略特区の出現/

これからの東京に求められる不動産開発 ほか