中村彰彦、知恵伊豆と呼ばれた男 老中松平信綱の生涯、講談社文庫、2009.12.15
先日、一橋の如水会館に出かけたおり、松平伊豆守信綱が住んでいたという案内版に出会いました。近くを流れる玉川上水の建設を主導したのも松平伊豆守信綱。ということで、読み始めました。平林寺にお墓があります。そこに、天草・島原の乱で討ち死にした家臣の碑がありました。先日、読んだ、「イノベーターたちの日本史」に、大隈重信が明治のキリシタン迫害と欧米との交渉で頭角を現したことが紹介されていました。そこに共通点も感じます。大河ドラマにはなりにくい。
P182辺りの記述に、原城の落城で、キリシタン側は1万8千人戦死。捕虜になった1万9千人が斬首だったそうです。最後の候攻撃で幕府方は、手負い7千人余。討ち死に千人余。その前に幕府方もずいぶん亡くなっています。地方の農民にとってあまりに凄惨な戦いでした。ベトナムやイラクを連想します。
同時代の人として、高遠で出会った保科正之が登場します。
明暦の大火(振袖火事)は、八百屋お七が起こしたのではありませんでした。
磯田道史著、「徳川がつくった先進国日本」の第4章、島原の乱の種本の一つに思えます。「徳川の平和(パクス・トクガワ-ナ)」も出てきます。
著者の長年の研究を感じる読み応えある本です。
目次:
はじめに
第一章 将軍家の小姓として
第二章 「六人衆」から老中へ
第三章 天草・島原の乱を平定せよ
第四章 名老中への道
第五章 徳川の平和(パックス・ドクガワーナ)
あとがき
年譜 松平信綱とその時代
参考文献