加藤秀俊、社会学、中公新書、2018.4

身近な事例と、豆知識が楽しい、いろいろな連想を拡げてくれる加藤節を久しぶりに楽しんだ。読書案内もあり、紹介されている本をいくつか読んでみようと思う。英語の勉強にも使えそうだ。ときに押しつぶされそうになる日々の中で、加藤さんの本に出会って30年余り、時々に救われてきたように思う。読者に自分でも何か研究できる、そして書ける、書かねばと感じさせてもくれる。巻末に1962年の「中公新書刊行のことば」がある。最近の中公新書には掲載されないのが多くなったけれど、加藤さんが書かれたそうだ。

以下、メモ

第一章、「社会学」-現代の世間学

 P16,17:加藤さんの別著「メディアの展開」ででてきた江戸時代の識者に、またお会いしました。松浦清山、太田南畝、貝原益軒、等々。

P18<世間師、宮本常一>:武蔵野美大に研究室を設けていたそう。現在、美大で火・木の10:00から16:30まで資料館が開館。近所なので行ってみようと思う。

P24<ホーボー「hobo」>:住所不定、あちこち放浪の旅をつづける浮浪者のこと。「ホウボウさまよう」の日本語のことばに発音が似ている。英語と日本語でたまに語感が似ている言葉があるのは不思議。

P30<Barbara Ehrenreich: Nickel and Dimed, Henry Holt and Co. 2001 著者の下層社会での経験をそのまましるした名著>:読んでみたい。

 

第二章、集団―つながる縁。

P44<あんまりひどい縁だと「縁切り寺」。>

P49<ギターがじょうずなんだってね。>

P54<部長が定年退職、しぜんと疎遠になっていく。>

P56<バスケットボール部で合宿をかさねてきた友人。>

と身近な例。

P59<Erik H. Erikson: Childhood and Sciety. Norton. 1950 こどもが社会のなかでどう育っていくかを論じた名著>:読んでみたい。

 

第三章、コミュニケーション-ことばの力

P80<新聞の功罪、アメリカのハースト系新聞の捏造記事が、米西戦争をもたらした>。ベトナム戦争、イラク戦争、アラブの春、シリア内戦(戦争)も同根のように思える。

P87<梅棹忠夫、情報の文明学、中公文庫、1999 : 情報産業論>:5年ほど前買ってそのまま。改めて読んでみようと思う。

 

第四章、組織―顔のない顔

P111<肥後守>:鉛筆を削るナイフの話を著者からお聞きしたことがある。

P113<国家という法人>:管理されているのをこのところさらに実感。

P114<桜井徳太郎、講集団成立過程の研究、吉川弘文館、1962>:半年かけて読んでみたいと思う。

 

第五章、行動―ひとの居場所

P131<せまいながらも楽しい我が家>:「My Blue Heaven」なるヒット曲があった。

P138<アジール(居場所のないひとの居場所)>:

ゾミア(大陸部東南アジアにおいて、歴史的に低平地の人口集積地に基盤をおく政府による支配が困難であった巨大な山塊地域)を連想。ジェームズ・C・スコット、ゾミア:脱国家の世界史、2013、は大分の本だった。

P139<てら銭、(寺銭)>:こういったミニ知識が得した気になる加藤節。

 

第六章、自我―人生劇場

P150等<椿姫、ボヴァリー夫人、修禅寺物語>:スマホで調べながら読むのが楽しかった。

P150<役割葛藤、役割移転>:サルトルの「実存は本質に先立つ(存在と役割)」、ボーヴォワールの「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」を連想。

P155<シバイ(ハワイの英語)、振り付け、芝居>:「河原の芝生に腰をおろして演技を見た。」に由来とのこと。ミニ知識。

 

第七章、方法―地べたの学問

P178<アイオア州・トウモロコシ>:映画『フィールド・オブ・ドリームス』(Field of Dreams)を連想。

P180<菅江真澄>:秋田の博物館へ行かねばならぬ。

P182<イザベラ・バード>:行きつけのスタジオには本棚があり同書も置いてある。通して読むには大分。加藤さんの本、「紀行を旅する、中公文庫、1987」に要約されている。

P188<定性、定量>:例えば人口密度を調べて見た。小平市9千人。つくば市800人。

P189<川喜田二郎>:津で出会う。実業家で陶芸家の川喜田半泥子のご親戚。

 

使える漢字に出会える。:彷徨(ほうこう)、矮小(わいしょう)。