西谷格(ただす)、ルポ 中国「潜入バイト」日記、小学館新書、2018.4.3

メモ:

P43, 「中国人は、ニュースに興味がない。」広すぎる国土、多すぎる人口、一党独裁、言論の自由や参政権の欠如、、、。ニュースに対して意見を言うだけムダ。そんな他人のことより自分自身のことを考えようという風潮が蔓延している。政府にとってもその方が都合がいい。

P73, 史実やリアリティから遊離した形ですべてがジャンルのなかで自己完結している「お約束事」と、観る側が安心して観られる点で、近頃の抗日ドラマは、日本の人気時代劇の域に達しているように思われる。水戸黄門のようなものだ。

P76, 中国では毛沢東の死後(1976年以後)、市場経済の導入や一人っ子政策などが行われ、社会全体が大きく変化した。新しい時代に生まれた中国の新人類たちは「80後(バーリンホー)」、「90後(ジウリンホウ)」と呼ばれている。現代的な価値観を持つ彼らだが、江沢民政権下の反日教育を受けた80後の方が反日意識は強いと言われている。

P78, 個人として接する限り、彼らは必ずしも反日ではなく、むしろ日本人に対して好意的ですらあった。

P86, 女性の管理職が非常に多い。外資系人材会社ヘイズによると、2015年度の女性管理職比率は、中国は36%だったのに対し、日本は19%に留まった。

P88, 定員人数が集まらないと出発しない。客が少なすぎて待たないといけないわけだ。

P124, 上海市内でのマンション価格は1平米あたり4万1802元(約63万円)、平均年収は5万2962元(約80万円)なのでごく一般的な90平米程度のマンションを買うとなると、飲まず食わず71年間も働かなくてはならない。「普通の庶民」にはもはや家が買えないのだ。

P125, 「結婚すべき」「したほうがいい」のアンケート回答。日本は62.7% 中国は82.1%

P143, 上海には日本人女性も住んでいたが、日本から単身中国に飛び出してきた彼女たちの多くは、日本社会の同調圧力から解放された冒険家タイプ。(中略)自分もえり好みできるほどの立場ではないと思いつつ、日本人女性との出会いは、やはり日本で暮らしたほうが可能性があるように思えた。

P186, 実地研修で日本人講師に、二重橋の歴史や浅草寺の由来などを細かくガイドしてもらった。暗記力はさすがと思ったが、どれもインターネット検索すればすぐにわかる話。少し時代遅れに感じた。

P190,「日本の国土は中国の26分の1、非常に小さい。だから小日本(シャオリーベン=日本の蔑称)というんですよねえ!」(「私も同じ中国人ですよ」という安心感を与えるためのリップサービスなのだろう)

P223, 日本に滞在する外国人留学生は約27万人で、そのうち中国人留学生は10万人弱と約4割を占める。2位はベトナム人留学生(約6万人)。

 

目次

まえがき、3

1章 上海の寿司屋でバイトしてみた 15

2章 反日ドラマに日本兵役として出演してみた、49

3章 パクリ遊園地で七人の小人と踊ってみた、81

4章 婚活パーティーで中国人女性とお見合いしてみた、115

5章 高級ホストクラブで富豪を接客してみた、141

6章 爆買いツアーのガイドをやってみた、179

7章 留学生寮の管理人として働いてみた、221

あとがき、247