新井紀子、AI VS. 教科書が読めない子供たち、東洋経済新聞社、2018.2.15

新井紀子、AI VS. 教科書が読めない子供たち、東洋経済新聞社、2018.2.15

 

P46:

YOLOの高速化のポイントは、これまでのAIでは2000の物体を検出するために2000回行っていた「物体がうつっているらしい場所」の認識をひとつにまとめたことにありそうです。「たった一度だけ見ればよい」という意味で、このシステムはYOLO(You Only Look Once)と名付けられました。YOLOのシステムは、人間や他の動物が目で「見る」ということに近づいていると言えるのかもしれません。

 

P47:

2011年にアメリカのIBM社がワトソンという名前のAIを開発しました。ワトソンはみずほ銀行のコールセンターや東大の医科学研究所に導入されました。

 

P55関連:

フランク王国では751年にピピンが王位についてカロリング朝を創始したが、ピピンはそのときローマ教皇から王位を承認された見返りに、ローマ教皇を助けて754年にランゴバルド王国に遠征し、ラヴェンナを奪回し、ローマ教皇にその一帯を寄進した。このピピンの寄進によって両者の関係は強固になった。さらに774年にフランク王国のカール大帝がイタリアに侵攻、パヴィアのランゴバルド王はその攻撃を受けて敗れ、イタリア北部はフランク王国に併合された。

 

P102:

次の会話の空欄に入れるのにもっとも適当なものを、それぞれ①から④のうちから一つ選べ。

Nate: We’re almost at the bookstore. We just have to walk for another few minutes.

Sunil: Wait. □

Nate: Oh, thank you. That always happens.

Sunil: Didn’t you tie your shoe just five minutes ago?

Nate: Yes, I did. But I’ll tie it more carefully this time.

===

①We walked for a long time.

②We’re almost there.

③Your shoes look expensive.

④Your shoelace is untied.

===

正解は、④

 

P112:

科学というのは、ある一人の人間の突然のひらめきで生まれるというより、機が熟すと同時多発的に「言葉として」発見されることが多いように思います。数学の言葉の発展は線形的なものではありません。ある時期、指数的に発展し、その言葉を食い尽くすと、安定し、その後はごくゆっくりと発展するようになるのです。(CF:進化の袋小路、)

 

P118:

数学が発見した、論理、確率、統計にはもう一つ決定的に欠けていることがあります。それは「意味」を記述する方法がないということです。

 

P119:

人間なら簡単に理解できる、「私はあなたが好きだ」と「私はカレーライスが好きだ」との本質的な意味の違いも数学で表現するには非常に高いハードルがあります。

 

P165:

脳がどのような方法で、私たちが認識していることを「0,1」の世界に還元しているのか。それを解明して数式に翻訳できないかぎり、「真の意味でのAI」が登場したりシンギュラリティ―が到来することはないのです。

 

P186:

AIが文章を読めるためには、次の6つの能力が必要。

1、係り受け解析: 「私はパスタが好きです」の文では、「私」が「好き」にかかり、「好き」は「私」を受ける。

2、照応解決:「それ」「これ」といった指示代名詞が何を指すかを理解する。

3、推論:文の構造を理解した上で、生活体験や常識、さまざまな知識を総動員して文章の意味を理解する力。

4、イメージ同定:文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力。

5・6、具体的同定:定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力。定義には国語的と数学的の二種類ある。

 

P192:

1、エベレストは世界で最も高い山である。

2、エルブルス山はエベレストよりも低い。

1のとき、2は、<正しい・誤り・判断不能>のどれか? 正解<正しい>

 

P219:基礎的読解力は人生を左右する。基礎的読解力が高いと偏差値の高い高校に入れる。

 

P226:きちんと教科書が読めるためにはどうしたらよいか。

「一に読解、二に読解、三・四は遊び(給食当番・掃除活動)で、五は算数

 

P245:読めない人には、理由がある。ドリルに頼りすぎた。わからない単語は飛ばしてしまう。記述に矛盾があっても活字になっていると信じてしまう。などさまざまな偏りのタイプがある。

 

P246:多読でなく、精読・深読になんらかのヒントがあるかも。

 

P259:アノテーション設計、オントロジー設計。教師データ。

 

P274―P281:

ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)、「人間らしい仕事」、

「汚物屋整理コンサルタント」、「高学歴高収入女性専門の婚活支援」、「シェアリング」

「教育のための科学研究所」、

「人間にしかできないことを考え、実行に移していくことが、私たちが生き延びる唯一の道」

 


<目次>:

はじめに

第1章 MARCHに合格――AIはライバル  P11

AIとシンギュラリティ、偏差値57.1、AI進化の歴史

YOLOの衝撃―画像認識の最先端、ワトソンの活躍

東ロボくんの戦略、AIが仕事を奪う

第2章 桜散る――シンギュラリティはSF  P79

読解力と常識の壁―詰め込み教育の失敗、意味が理解しないAI

Siri(シリ)は賢者か? 奇妙なピアノ曲、機械翻訳

シンギュラリティは到来しない

第3章 教科書が読めない――全国読解力調査  P167

人間は「AIにできない仕事」ができるか?

数学ができないのか、問題文を理解していないのか?―大学生数学基本調査

全国2万5000人の基礎的読解力を調査、3人に1人が簡単な文章が読めない

偏差値と読解力

 第4章 最悪のシナリオ P253

AIに分断されるホワイトカラー、企業が消えていく、そしてAI世界恐慌がやってくる

おわりに